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小説修行 - 小島信夫、保坂和志

小島信夫、保坂和志の往復書簡という形式による、「小説とは何か?」を考える本。保坂和志が先生と仰ぐ小島のじいさんはやはりたいした男だ。小説のプロである小説家は、小説について考えて、考えて、考え抜いている。保坂の「小説家は小説を書いているのではなく、小説によって書かされている。」というフレーズが心に残る。それは小島という特別な小説家に出会わなければ、決して発見することの出来ないことだった。小説家がすべてをコントロールできている状態の小説は魅力に乏しく、書いた本人も分からないような外部が感じ取れる状態にある、つまり「書かされている」ほうが面白いのだ。余韻・余白・世界の広がり。

「書かされている」というような境地に果たしてどれほどの小説家がたどり着けるのだろう。だが、実際にそんな本は存在する。皆が知っている身近な例では、サン・テグジュペリ「星の王子様」、パウロ・コエーリョ「アルケミスト」。内容に書いてある以上のことを読者は感じ取ることが出来る。他に思いつくのは、カフカ「変身」、保坂和志「カンバセイション・ピース」、フリオ・リャマサーレス「黄色い雨」。デザインや建築というカテゴリーでもそういう作品が作れたら、僕もプロになったと胸を張ることが出来るだろう。そして、残念ながら本人はその偉大さに気づくことが出来ない。それがまたいい。

テーマ : 感想文
ジャンル : 小説・文学

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