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読む力・聴く力

その晩恋人にキスを拒まれ彼は思う
この世は読まなきゃ行けない物で一杯だ
人の心を読むのに比べれば、
本を読むのなんて楽ちんなものだ

だが言葉でないものを読むためにこそ
ひとは言葉を読むものでなかったか
彼はふたたび恋愛論に戻る
ため息をつきながら
コンドームを栞代わりにして


谷川俊太郎 「恋する男」より

言葉には不思議な力がある。「言葉でないものを読むために、言葉を読む」。すぐに字面だけで判断してはいけない。小説を読むにしても、詩を読むにしても、そこに書いてあること「以外」のことを読むということが、読むことの喜びである。「聴く」ことに関しても全く同様のことが言えるのだと思う。相手の言葉の奥にある何かを聴くのことが、本当の「聴く」という行為なのだ。

立花:~ああいう一行の、すごくいい詩句が生まれた瞬間というのは、おそらく洞察の一瞬みたいなのがあって、谷川さんの頭の中でこねくりまわして出てきたものではなく、ある瞬間に突然でたものですね。
谷川:そうです、自分でもわかりません。

谷川俊太郎のすごいところは、「わからない」と言い切ってしまっているところであって、自分でも分からないところに詩の秘密があるのだと思う。分からないからこそ、魅力的で深い意味を包含しているのだ。分かり切ったことを書くのであれば書く必要がないし、読む側としても読む必要もない。谷川は言葉にならないことを言葉にしたと宣言しているわけで、そこで此方としても言葉にならなかった部分を勝手に想像して読むというのが読む楽しさなのだと宣言したい。

「自分でもわかりません」なんていつかは言ってみたいと思う。
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