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いい子は家で - 青木淳悟

スチュアート・ダイベックが描く生き生きとしたアメリカの家族の絆と対照的に、青木淳悟は日本の淡々とした家族の関係を描く。問題作だった前作「四十日と四十夜のメルヘン」とは調子が異なるが、線のずらし方というか唐突感というか読者の裏切り方がやはり青木流だ。それでいて現代性をしっかりと描き出すのだから不思議な作家といわざるを得ない。たばこの煙が竜巻になるくだりのような妄想と現実の入り交じるあたりが、一癖も二癖もあって、マニア心をくすぐる。青木淳悟の本棚チェックというのがあって、そこにあるガルシア・マルケス、カフカ、ボリス・ヴィアン、カート・ボネガット、福永武彦というラインナップをみれば相当納得できるものがある。要するに玄人向けだ。

ここに出てくる家族のあり方は読んでいて泣いたり笑ったりの波瀾万丈の家族ではなく、とてもつまらない今の日常の家族だ。だからつまらないといえば非常につまらない小説といってもよい。ただ、それを題材に虚構とも現実ともつかない境界で小説を進行させるその実験的姿勢を私は評価したい。予定調和のエンディングや理想的な家族像などどこ吹く風の、人間を見つめる観察と妄想の中間の視点を支持したい。生きていくということは元来そのようなものではないか。これからも青木淳悟には安っぽい価値観の強要することの真逆を突き進んで欲しい。
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